「信頼性」を意識したデザインを目指そう

デザイン

最近とあるセミナーに参加しました。トラストフォーマットに関する全4回の講座です。私は初めて知る内容ばかりで非常に有意義な内容でしたので備忘録としてこちらに綴りたいと思います。

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トラストフォーマットとは?

トラストフォーマットという単語に聞き馴染みのない方も多いことでしょう。ですが実はデザインに関わる人にとってはとても重要な考え方なのです。

例を挙げましょう。

あなたの目の前にとある有益な情報を熱心に訴えかけてくる2人の男性がいます。2人が話す内容は全く同じです。ですが、一方はネクタイを締めスーツをピシッと着て髪も整えた男性、もう一方はいつ洗濯したかも分からない汚れた服にボサボサの髪をした男性です。

あなたはどちらの男性の話も同じ熱量で耳を傾けることはできますか?

おそらく大体の人はNOでしょう。前者の方が圧倒的に話を聞きたいと思えるのです。話の内容は全く同じにも関わらず。後者の男性はどこか怪しく信頼できない印象を受けませんか?

 

もうひとつ、今度はWEBサイトを例にとって考えてみましょう。

俳優の阿部寛の公式ホームページをご存知でしょうか?

阿部寛のホームページ

容量が少なく軽いため表示速度が非常に速く、「5G対応でないiPhoneでも5G体験ができる!」と以前話題になりましたね。

元々は彼のファンがファンサイトとして作成したものですが後に事務所公認となったそうです。公式ホームページとなった後も作成当時の簡素なデザインが引き継がれています。これはこれでインターネット黎明期のような雰囲気が味わえる現在数少ないサイトデザインで人気を博してはいますが、知らない人が初めて閲覧したら公式とは到底思えないでしょう。コンテンツ自体はかの有名な大俳優に関するしっかりとした正しい情報です。にも関わらずどこか怪しく写ってしまうのはなぜでしょうか。

それはインターネット黎明期のデザインが現在ユーザーに信頼されていないからです。

少ない写真、要素が繰り返されたやや主張の激しい背景、左側にカラフルに並んでいるビュレット、デザインの施されていないテーブル、下線付き青文字のリンク……。当時はWEBサイトそのものが物珍しかったためこのようなサイトでも違和感はなかったことでしょう。しかしインターネットの発展に伴い、WEBサイト制作を専門とする職が誕生したり素人でも少し勉強すればデザイン性を考慮したサイトが作成できたりと流通しているサイトのレベルが上がっています。それゆえ当時のようなサイトデザインは手間をかけていないように見えてしまいコンテンツの質自体への信頼度も下げてしまうのです。

 

話を戻しますがトラストフォーマットを直訳すると、

トラスト〈=信頼されるフォーマット〈=書式・体裁

となります。

デザインに流行りがありそれを常に追い求める方は多くいらっしゃると思います。私もデザインギャラリーを定期的に見て現在どのようなデザインが流行っているかの分析を試みますが、「なぜこの手法が多くのサイトで使用されているのだろう?」「なぜデザインはこんなにも流行りが移り変わっているのだろう?」とモヤモヤすることが多々ありました。実はその流行りに影響している点のひとつとして、上記の阿部寛公式ホームページの例からも分かるようにユーザーからの信頼があるのです。

信頼されているデザイン手法がきちんと用いられているか否かによって成約率が大幅に変わる可能性があります。そのためデザインに関わる人はこの、ユーザーに信頼される形式をA/Bテストをしながら常に探し求めて落とし込む必要があるのです。

ユーザーが信頼するものを意識

ユーザーから信頼されるものとは何か?

実はこの疑問に対して明確に「これ!」とお伝えできるものはありません。

なぜならユーザーが信頼するものは時代やターゲット層によって変化するからです。

人は学習する生き物です。黎明期の簡素なデザインが現在では信頼されなくなったように、かつて信頼されていた形式でもユーザーの目が肥えてくることによって逆に不信感を抱かれるようになる可能性があるのです。

色、フォント、写真の雰囲気、ボタンのあしらい、素材の優先順位、数値情報の伝え方など数年前に頻繁に使用されていた手法でも今見ると「あまりクリックしたいと思わない」「下までスクロールして読み進めようと思わない」と感じるものも多いことでしょう。当時のデザインが悪いというわけではありませんし、単にユーザーがそのデザインに飽きたからというわけでもありません。当時は当時で信頼されていたデザインが使用されていましたが、当然ながら多くの人に信頼されるデザインというのは優良な発信者だけが用いるということはありません。信頼されるからこそいずれ詐欺サイトなどで悪用されるケースが散見されるようになってしまうのです。詐欺サイトに騙されるユーザーが増えてくると、そこで多様されるデザインに不信感や恐怖心を抱くようになりそれらを避けはじめます。

こういった流れからユーザーから信頼されるものは、時代によって変遷しますしターゲットとする年齢層がインターネットにどれだけ馴染みがあるかによってどの時代のデザインがターゲットに刺さるかが変わるということです。

さらに、現在あなたがどれだけ信頼を寄せていてもおそらく数年後にはそのデザインも怪しいかもと疑いコンテンツを注意深く見ずに離脱するようになっしまうのです。

具体的な「信頼されるデザイン」の移り変わりについてはまた次回以降の記事でお話ししたいと思います。

信頼(トラスト)は変遷するもの

トラストフォーマットはどのように生まれるのか?

トラストフォーマットはユーザーがパターン認識することによって生まれます。パターン認識とは、

現実の世界からの視覚的・聴覚的な刺激信号である文字、図形、映像、音声などのパターン情報を見て、これを既知の文字、幾何学的図形、風景中の事物、音韻などと対応づけ、識別すること。(〜中略〜)より一般的には、受け付けたパターン情報を、与えられた判定基準に基づいて、それが本来属すべき(既知の)カテゴリーに対応づける操作のことをパターン認識という。
と説明されています。〔参照:日本大百科全書(ニッポニカ)
簡潔にいうと外部情報を認識する際の過程を表す情報処理のことです。
パターン認識
これによってユーザーの中でトラストフォーマットが醸成されていくのです。
具体的には以下の流れでユーザーはパターン認識していきます。
①本能で行動

ボタンだ!押してみたらなんとファイルGET!

②トラストを学習

このボタンはファイルが手に入るもの…?

③トラストに沿って行動

ファイルが手に入るからボタンを押す

④トラストの強化

これは間違いなくファイルが手に入るボタンだ…!

⑤無意識に行動

ファイルが欲しい!ボタン押す!

この流れを何度も繰り返しながら学習していきます。

例えばCVボタンに企業トンマナを考慮したオリジナリティのある色を使用することはブランディングの観点で重要ではありますが、顧客のバックグラウンドを踏まえてこれまでにその顧客が学習してパターン認識してきた色を使用する方が成約率向上には効果的だそうです。重要なのは「どの色が良いのか?」ではなく「信頼されている色は?」という問いかけなのです。

まとめ

このように言わずもがなですが「見た目」は顧客のコンテンツに対する大変重要な評価基準となるのです。見た目がお粗末では中身を知ろうと思えません。その整った見た目を作り上げるために必要な視点が信頼を勝ち取るためのデザインなのです。ただ単に派手に見せれば良いわけでもなければ、トンマナが合っていれば良いというわけではありません。デザイン原則がきちんと適用されていれば読みやすいサイトやバナーにはなりますが興味を持ってもらえるかは別の話です。よりコンバージョンに繋げられるように私も顧客のトラストを追求していきたいと思います。

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