ユーザーを欺くダークパターン

デザイン

“悲劇的なデザイン あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?”

大学生の時に卒業論文を書くための参考資料として購入した書籍です。

近年「ユーザーファースト」「人間中心設計」などの概念が広まりつつありますが、世の中には尚「ひどいデザイン」なるものが多く存在します。

怒りをあおるデザイン、悲しみを呼ぶデザイン、疎外感を与えるデザイン、中には生命に関わるデザインも。

書籍の内容は1記事に収めるにはあまりにも盛り沢山なので、ひとまず今回は怒りをあおるデザインについて述べていきたいと思います。

 

“ダークパターン”という語をご存知でしょうか。言葉を聞いたことがなかったとしてもおそらく誰しもそれに遭遇してイライラしたことはあるかと思います。

簡単に言うとダークパターンとは「ユーザーを騙すために仕掛けられたwebサイトの罠」のことです。

入会は簡単なのに退会の手順は迷路のようにややこしくて果てしない。

1ヶ月無料のサービスなのに初めからクレジットカード情報を求められる。

さらには1ヶ月後に有料サービスへと自動移行する。

これら全てダークパターンの例です。実はAmazonやzozotown等日本の有名サービスでもダークパターンが使用されてしまっている現状です。

海外では問題視する動きも強く、ダークパターンに関する法律が議会に提出されている、あるいは既に施行された国もあります。

 

企業がダークパターンを採用してしまう理由。それは短期間でコンバージョンを上げることができるからです。

しかし実際長期的に見るとデメリットの方が大きいのです。

  1. 実際に売れてプロダクトが実際の利益をもたらす機会が失われる
  2. 騙されたお客は返品を求める可能性が高く、配送料や払い戻しの費用が生じる
  3. カスタマーサポートへの問い合わせが増え、多くのリソースを割かざるを得なくなる
  4. お客がSNSで不満を言う可能性があり、数字では計れないブランドの評価が傷つく
  5. 騙されたお客は常連にならず、サービスを知人に勧めることもないため、新規顧客獲得に有する労力が増す

軽く挙げただけでもこれだけのデメリットがあります。

 

それを踏まえてwebに関わる者がすべきことは何でしょうか。

私は以下の2点が必要であると考えます。

まずはダークパターンの種類を把握すること。案外知らず知らずのうちにダークパターンに陥ってしまう例も少なくありません。予めパターンを知っておけば反面教師のようにそれらの使用を避けられるはず。知識として頭に入れておくことが必要でしょう。

ちなみにダークパターンを提唱したハリー・ブルヌル氏がこちらのサイトにてパターンをまとめてくれています。

次に上司やクライアントを説得する力、ダークパターンの影響力を説明する力を鍛えることも重要です。短期間でコンバージョンを上げるにあたり、ダークパターンを提案されることもあるかもしれません。そういった場合に、実際に用いた場合のメリットとデメリットを事例も取り上げながら説明すること。最終的な決定権が上層部にあるとしても、説明責任はwebデザイナーにあると思います。

 

以上に怒りをあおるデザイン、ダークパターンについて述べてきました。日本ではまだまだ浸透していないこの概念が、今後世間に広まり批判の動きや企業が意識的に避ける動きが増えることで、web全体がユーザーがストレスなく使用できるものになっていけばいいなと思っています。

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