“複雑なタイトルをここに”
OFF-WHITEのデザイナー、ヴァージル・アブローがハーバード大学デザイン大学院で行った特別講義の内容を記録した1冊です。
彼が今まで生きてきた中で得た考え方やモノの捉え方が紹介されていて、クリエイターであるか否かを問わず刺激になるのではないかと思います。
書籍の序盤でアブローの「独自のデザイン言語」が紹介されています。
- レディメイドー既知の要素、人間的感情、アイロニーにもとづく新しいアイデア
- “比喩的表現”あるいは“引用”
- 3%アプローチ
- 明らかな類似あるいは相違という二つの見解を折衷する
- “ワーク・イン・プログレス”の痕跡ー人との相互作用を繰り返す
- 社会的主張ーそのにいま存在すべき理由がある
- ツーリストとピューリストに同時に語りかける
私が特に注目したいのが二つ目。
どうやら“クォーテーションマーク”をキーボードだけで表現できるデザイン要素と捉えているようです。
クォーテーションマーク付きで綴られる言葉は抽象的であると同時にピンポイントで何かを表現できる具体性をも持つと彼は言います。
たしかにクォーテーションマークで強調された箇所はそれだけで何らかの意味付けがなされ(皮肉等)読み手もそのつもりで考えを巡らせます。
ただの記号としか捉えていなかったマークをデザインの要素とする考え方は個人的に目から鱗でした。
デザインをする上で、新しいものを生み出そうとすることだけが良いとは限らない、身近な要素を追求することで見えてくるものもある、ということを改めて気付かされました。
アブローのデザイン言語をチートコードとして、私もこれから自らのデザイン言語を培っていきたいと思います。
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